〜サンティアゴ・デ・クーバ編〜

飛行機からみえる大地の色、サングラスの重要性を人生初めて実感した日差しの強さ、日本とは異なる突き抜けた空の青さに「あぁ、久しぶりに帰ってきたんだなぁ」と、3 度目のキューバは今回初めて訪れることになったSantiago de Cubaサンティアゴ・デ・クーバ(以下サンチャゴ)から始まった。

長期滞在した2 度目のキューバでは、全くノータッチであったサンチャゴにどうしても行きたい理由が2つあった。1つはSON(ソン)と呼ばれる音楽発祥の地であるサンチャゴの雰囲気を一度体感したかったこと、もう1つはラテン界隈で噂の『HC』ロゴ、魅惑のハンドパーカッションを造る職人HarlemCampos(アーレム・カンポ)だ。

サンチャゴはハバナよりもコンパクトな印象だ。中心地のカサに泊まったこともあり、歩いていける距離に十分に楽しめる要素がたくさんあった。僕は学生時代を過ごした広島のことをふと思い出した。中心地まで出れば、ほとんど徒歩圏内で遊べたからだ。

サンティアゴの街並み
セスペデスパーク Céspedes Park
ネットに繋ぐために日中の大半を過ごした場所。

キューバではネットに繋ぐために公園などのWi-Fiスポットに移動する必要があった。夜な夜な公園にフラッと行くと、どこからかご機嫌なサウンドが聴こえてくる。音の方に向かっていくとサンチャゴに詳しい友人情報にあったライブスポット“カサ・デ・ラ・トローバ”に辿り着く。

キューバ初日のカサデラトローバでのMorena Son

初日に観たMorena Sonというバンドの演奏に心を掴まれて2日連続で通う事に。カサデラトローバに出演する多くのグループは7 人編成を意味するSEPTETOがバンド名に付くのだが、近年1人で担っていたパーカッションをボンゴとコンガの2 人で演奏するようになりSEPTETOと言いつつ8 人編成がスタンダードとなっている。とはいえ小編成ながらもアレンジはゴリゴリで、大所帯のサルサのサウンドに匹敵するくらい無茶苦茶バイラブレ(踊りたくなる)!ほのぼのとしたSONのイメージは完全に崩壊した。まさに百聞は一見に如かずとはこのことだ。

2日目のカサデラトローバ。この日のバンドはSepteto de la Trova
ちゃっかり飛び入り。

僕は観る事が出来なかったが、毎週火曜日には2018 年ラテングラミーで賞を獲った要注目のバンド“セプテート・サンティアゲーロ”が演っている。猛プッシュされていたアルバムはもちろん購入。ラテンスタンダード多めで聴き易くアレンジが素敵だ。買って損はないと思える内容の良いアルバムだ。

Recommended CD

Latin Grrammyラテングラミー2018 BEST TRADITIONAL TROPICAL ALBUM
José Alberto El Canario & El Septeto Santiaguero『A Mi Que “Tributo A Los Clásicos Cubanos”』

アーレム・カンポ情報が得られないまま、サンチャゴ最終日、ショップを訪ねると偶然彼の娘さんに遭遇!そのままアーレム宅に行ける事にっ♪家の工房に付くとワクワクが止まらず…質問攻め。後で気付いたことだが、アーレムはとても研究熱心な方だ。昔のクラベスと比べると今のは軽量化、細身だが良く響く。惜しげも無く教えてくれたマラカスの中身も、3種類の木の実を混ぜたものと針金を細かくしたようなものを絶妙なさじ加減で配合している。ギロも鳴りの個体差はあるものの、溝の深さや間隔に拘りがあるようで擦る感覚が丁度良く、演奏し易く仕上げてある。何度も試行錯誤をした結果なのだろう。ロゴや模様を描くのに日本製のマジックを使っているのが印象的だった。お土産屋で売られている楽器もハバナと比べるとサンチャゴは品質が高いと感じた。アーレムの存在がサンチャゴの職人レベルを上げる要因になっていることは間違いなさそうだ。[続く…]